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事務所概略

事務所名
東京GODO会計
税理士 多勢 陽一
所長名
多勢 陽一
所在地
東京都江東区亀戸
6-2-3田辺ビル6F
電話番号
 フリーダイヤル  0120-77-2514
FAX番号
03-3684-2740
Eメール
tase-yoichi@tkcnf.or.jp
業務内容
・パソコン会計による月次決算支援業務
・独立、開業支援業務
・経営相談に関する業務
お問合せ
東京GODO会計は
TKC全国会会員です
TKC全国会
TKC全国会は、租税正義の実現をめざし関与先企業の永続的繁栄に奉仕するわが国最大級の職業会計人集団です。
東京税理士会 江東東支部所属

WHAT's NEW 2022

バックナンバー

「マネー②」(2022/12/01)

マネーとは、信仰に近い信頼である。私たちにマネーを支払ってくれる人を信じ、通貨を発行し小切手の換金や振り込みを行ってくれる機関をも信じる心である。金属がマネーではない。信用が刻印されたものがマネーなんだ。(中略)マネーが世界を回しているわけではない。実際に回っているのは、おびただしい数の人間であり、物資であり、サービスだがそれを可能にしているのはマネーだ。』(マネーの進化史・早川文庫)

 『普通国債の発行残高が9月末に993兆7965億円になったと財務省が発表した。11月8日に閣議決定した第2次補正予算案の22兆円は国債で賄われることになり、1000兆円越えは目前に迫る。ただでさえの赤字財政に加え、新型コロナウイルス感染症への支援策に財政出動を重ね、成長を伴わない財政出動が続く。

 日銀の国債保有額は10月末時点で536兆円となり保有割合は51%と過去最高を更新した。黒田東彦氏が大規模緩和を始めた2013年の10%台から膨らみ続け、日銀が発行済み国債の過半を保有する状態になっている。』(日経新聞11月11日朝刊より抜粋)

 国民に甘い顔を見せながら、為政者は借金を前提に国家を運営し、紙幣印刷機を回している日銀が国債を大量購入している構図となっているのだが、破綻はないか。丁寧で誠意のある国家運営と規律ある財政運営こそが信仰に近い信頼を育む唯一の拠り所であることを忘れないでほしい。

「マネー」(2022/11/01)

 円安が止まらない。対ドル円の最高値は、2011年につけた1ドル75.54円だ。11年前と比べて円の価値はドルに対して2分の1まで切り下がったことになる。

 2013年、黒田東彦氏が日本銀行総裁に就任し、当時、国内を覆っていたデフレ経済から2%インフレの物価目標と景気回復を目指し、「大胆な金融緩和政策をおこなって期待物価上昇率が上がり、実質金利が下がることによる設備投資や消費にプラスの影響を与え、経済を循環させる」というシナリオを実践した。

 2014年、金融緩和を行い市中にマネーが溢れ、円安も容認し、順調に物価が上昇していた矢先、消費税が5%から8%に引き上げられ、消費が冷え込んでしまい、2%の物価高目標は達成できず先送りされ、ゼロ金利政策も継続せざるを得なくなった。

 2016年、日銀はマイナス金利を導入し、一般の市中金利は下がったものの消費者物価は低迷を続け、またしても2%物価目標は先送りを余儀なくされた。実質賃金もマイナスとなり金融緩和政策の手詰まり感が漂い始めた。

 2018年、消費税が10%に改正。景気回復とは真逆の政策が実施されたことにより、物価上昇目標2%が達成されることはなかった。

 2022年9月、消費者物価指数は目標の2%を超え、前年比3%となったが、黒田総裁は金融緩和継続を表明し、その結果の円安進行だ。賢明な国民の財布の紐は固いのだが、円安による物価高は、国民の財布からマネーを吸い取ってしまう。


「帳簿を付けない商人」④(2022/10/15)

 「商業界において帳簿をつけない商人がいるだろうか」ジャック・サヴァリーは会計帳簿を自ら作成し、自己検証する行為の有用性を説いた。

 1673年、商取引における係争裁定や詐欺破産からの債権者保護に頭を悩ませていたルイ14世は、帳簿作成こそが健全な産業発展の礎と考え、サヴァリーに命じ、世界最初の成文商法である「商事王令」を制定した。不実記帳や放漫経営の破産者には死刑を含む重罪が適用され、正確な帳簿作成は自己を守る権利ともなった。

 当のルイ14世も自身の王朝の決算報告を求めたが、決算内容が統治者として自分の失敗をあからさまに突きつけられるものであったため、不快感を示し、決算報告を打ち切ってしまい、皮肉にもフランス王朝を破綻に導き、フランス革命とつながる。

 税金と会計帳簿の関りができたのは、ほんの100年前、1917年フランスに所得税が制定されたことに起因する。商工業の著しい発展に伴い、その儲けを徴税の対象にする直接税が考案され、7つの所得種別に分けて課税、累進税率など、今に続く所得税課税が始まった。

 事業者には、「パテント・営業税」という間接税に代わって、商工業利益に所得税が課税されることになったが、公平で正確な課税利益の算出のために目をつけたのが、商法で義務付けられていた会計帳簿である。当期利益から誘導的に課税利益(所得金額)を計算する確定決算主義に発展した。

 税金のためだけに会計帳簿を作成するなんてもったいない。

「帳簿を付けない商人」③(2022/10/01)

 21世紀の経営は、自己資本比率30%超を目指し維持する経営努力が続けられれば、どんな荒波にも負けまい。

 会社の総資産が1億円の会社の自己資本が3,000万円、総資産が5億円の会社であれば自己資本が1億5,000万円の場合、自己資本比率が30%となる。この自己資本は、資本金と利益剰余金で構成されることになるが、多くの中小企業は株主からの払い込み資本金が1,000万円以内というのが相場であろう。つまり自己資本の多くは利益剰余金であり、毎年の利益の積み上げでしか自己資本比率30%には到達できない。自己資本比率30%超を目指すためには、どうしても税金というハードルを越えねばならない。

 自己資本比率30%超は、例えば総資産1億円・年商1億円の会社が毎年1.5%の利益150万円を計上し、50万円の法人税・事業税を納税し、100万円を内部留保する行為を20年以上継続してやっと達成できる数値でもある。

 自己資本の蓄積が低い間は多少の利益など在庫や売掛金、金融機関への借入返済に消えてしまい、納税する手元資金などなく、「税金は払いたくても、お金がない」状況が続くがここが我慢のしどころ。自己資本比率30%を超えている会社は、預金残高が積み上がり資金繰りに頭を悩ませることもなくなり、設備投資や新たな事業展開も自己資金で賄えるなど経営の余裕度が抜群に高くなる。

「帳簿を付けない商人」②(2022/08/01)

 商いが物々交換もしくは現金決済で済まされていた時代では、特に帳簿の必要はなかった。一日の終わりに現金残高と在庫の数量を数え、昨日より増えていれば儲け、減っていれば損、と損得計算は簡単で残高目録で充分だった。

 13世紀以降の中世イタリアでは、地中海交易で商業が著しく進展するにつれ、現金決済ではなく掛け取引、もっと大きな商いをするための資金の借り入れなどの信用取引が拡大し、帳簿の必要性に迫られた。帳簿の出発点は、債権債務の備忘記録であり、貸し借りが一目で判るよう債権と債務が左右対称に表記することが考案された。貸借対照表の誕生であり、表記されていたのは人名勘定である。

貸借対照表の資産の部(左側)を「借方」、負債・資本の部(右側)を「貸方」と呼ぶのは、帳簿の出発点である債権債務の備忘録に由来する。

「借方」 「私に借りている人」 ×「私が借りている」

「貸方」 「私に貸している人」 ×「私が貸している」

 その後、貸借対照表と損益計算書が同時に作成される複式簿記による記帳が主流となり、現在に至る。商いを成功させる必需品が複式簿記で記帳された会計帳簿であり、「商業界において、帳簿をつけない商人がいるだろうか」とサヴァリーが訴えた所以でもある。

 21世紀の経営は、自己資本比率30%超を目指し維持する経営努力が続けられれば、どんな荒波にも負けまい。

「帳簿を付けない商人」(2022/07/01)

 持続化給付金の不正受給、摘発のニュースが後を絶たない。コロナ禍の緊急事態で困窮する事業者の救済が第一義だったとはいえ、制度設計の甘さに加え、申請のチェック体制も急場しのぎだったのだから、起こるべくして起こった事件とも言える。

 「商業界において帳簿をつけない商人がいるだろうか」350年前、1673年のフランス、ルイ14世の統治時代にフランス商事王令を起草したジャック・サヴァリーの著した「完全な商人」の一文である。

 王令では、すべての商人に財産目録の作成を義務付け、「財産目録の作成につき、2年毎では不十分で1年毎に作成することが望ましく、自己の状況を知るために最も有用である。資産と債務の状況を正しく把握していれば、債務の返済が可能であることに気づかず破産してしまうような状況を回避でき、財産状態を認知することが重要である。不幸にして破産してしまった場合でも債権者に対して自分の取りうる行動の裏付けとなる」と注釈している。

 王令では、規定された要件を満たす帳簿が提示できない商人や金融業者は、破産時に詐欺破産と宣告される可能性があり、詐欺破産者には死刑の適用を規定している。

 帳簿を付けない事業者を甘やかし、見過ごして済ませている日本の現状こそが持続化給付金の不正受給の元凶になってはいないか。持続化給付金も善良な納税者の血税から支給されていることをお忘れなく、岸田総理。

「借金の本質」(2022/06/01)

 『お金の流れである金融システムは、金利を前提に、シンプルかつ厳然とした掟(ルール)によって貫かれています。

 その掟とは、銀行とのお金のやり取りは、①必ず「貸し借り」の形態となる、②借りたお金は必ず増やして返す、③増やさなねばならない額は借りた時間に連動する、の三つです。

 借金は、借りたお金を何かビジネスへの投資などに使う目的で行われる経済行為ですから、借りたお金は使ってしまいお金は手元に残りません。また、手元に置いておくだけでは、基本的にお金は増えません。

 一方、お金を返済するときは、物品に交換された価値若しくは消費された価値を、元のお金の状態に戻して、さらに使用料を時間に応じて上積みすることが求められます。つまり「元本+金利」です。

 この掟を守るためには、借りたお金を使って、必ず増殖させる行為をせざる得ないのです。しかも、返さないでいると返済額は、時間の経過とともに増加していきます。』(禅とマネー 生田一舟著より)

 借金にはリバレッジ(てこ)効果があります。本来ならば購入したり、消費したい金額に達するまでの貯蓄する時間が必要なのですが、借金はこの時間を一気に短縮してすぐに行動に移せることが最大の魅力です。しかし、借金返済の局面では投資した物や消費からお金を生み出す作業がついて回る。借金は、投資と回収の循環のスピードこそが肝とわきまえて、ビジネスを展開したい。


「拝啓 P大統領殿 S主席殿 K書記長殿」(2022/05/01)

 『権力の座というのは、よほど居心地がいいものらしい。だから、自らすすんでその座を降りるものは、ほとんどいない。(中略)

 世界の歴史の大物から会社の社長まで、権力者が長くその座につき過ぎたためにおこる悲惨な例にはことかかない。なのになぜ自分から辞めることができないかというと、自分だけが違うと思っているからだ。自分だけは歴史の法則にあてはまらないのである。オレがいないと国家は、会社はどうなるか…大抵の場合、別にどうということはないのだが。評価はつねに引退後、死後、後世に定まるのである。(中略)

 権力を握ると耳が遠くなり、目がかすみ、頭が固くなる。老化現象と同じなのだ。気に食わないことは聞きたくないし、いやなものは見たくない。人の意見をよく聞いて、それを採用する偉い人もいるが、大抵は自分と同じ意見を採用しているだけである。

 一方で、褒め言葉はいくらでも聞きたい。いつもいつも褒められつけているのだから、もういいかというとそうでもないのである。褒められれば褒められるほど、もっと褒めてもらいたいのだ。褒められ亡者なのである。そして油断ならないのだ。聞いていないと思っても自分に対する悪口には常人以上に敏感なのだから。

 権力者というのは厄介なことに疑り深く、嫉妬深く、執念深く、人を人とも思わなくなる人たちなのである。』(「人は権力を握ると何をするのか」 文春文庫より)

「すぐそこにデジタル社会が」(2022/04/15)

 令和4年1月から施行された改正電子帳簿保存法。電子取引に係る証憑は電子データのまま保存し、紙での保存は認めないという法改正。急には現場が追い付かず、2年間の猶予が設けられた。

 当事務所でも1月から証憑保存の電子化に取り組み、手始めに現金で支出した領収書をスキャナーで読み込み仕訳連動を試行錯誤しながら進めている。領収書は証憑番号を付して糊で保存綴りに貼付する長年の習慣は根強く、スキャナーの後の領収書を破棄することへの抵抗感から抜け出せない。

 令和5年10月から始まる消費税のインボイス制度では、納品書や請求書などは紙からデジタルの省力化への進展が想定される。デジタルデータを取り込むことで、購入→在庫→支払→出庫→納品→請求→入金までの管理が人手を介せず一気通貫で行うことができる。納品即請求が可能になり、一月分まとめて請求、翌月入金といった商習慣が激変する可能性がある。令和7年にはデジタル通貨も導入される予定で、そうなれば、納品、即請求、即決済という資金効率が高いビジネスが実現する。

 さらにキャッシュレスが進展すれば、当然のことながら紙の領収書は発行されず、決済端末のスマホやPCに領収書が送信されることになる。レジペーパーなど過去の遺物になるに違いない。

 多量の硬貨の預け入れには手数料を徴収する金融機関も出始め、新一万円札の澁澤栄一の尊顔を拝む機会も無くなってしまう???

「降水確率30%」(2022/03/01)

 「天気予報で降水確率30%と報じられて、あなたは傘を持って外出しますか?」先だってNHKで放映された、「ためしてガッテン」での質問に、街角のほとんどは30%なのだから傘を持たないで外出するとの答えだった。

 降水確率30%というのは、降水確率30%の予報を100回発表したら30回は1㎜以上の雨が降る、という回数の問題で、雨が降る面積や強さは関係ないとのこと。ちなみに気象予報士は全員が折りたたみ傘を持って外出する、という答えだった。

 税の分野でも「降水確率30%」の認識のズレが表れる事項に、役員給与・役員退職金がある。法人税34条で不相当に高額な部分の金額について、その役員の職務の内容、その法人の収益及びその使用人に対する給与の支給の状況、その法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するものの役員に対する給与の支給状況、から判断して過大と判断されれば税務調査で否認されることになっている。

 企業の経営者は、寝る間も惜しみ人一倍働くのが常であり、自分の給与が高いの安いのと税務署から言われる筋合いはないし、そもそも隣の会社の社長の給与額など知り得るわけもないのに比較され、納得のいかない納税者側と、役員給与を利用した法人の納税回避を認めたくない課税当局の考えが対峙し、認識のズレが生じる。

 準備する傘は、株主総会で支給総額を決議し、その範囲内で職務内容に照らして相応の役員給与を設定することに尽きる。

「50年、働く」(2022/02/01)

 『今日の社会と組織では、ますます多くの人が、技能ではなく知識によって働く。知識と技能には基本的な違いがある。技能はあまり変化しない。知識は変化する。知識不足は自らを陳腐化させる。しかも急速に陳腐化させる。常に学び直さなければ時代遅れとなる。

 これは、若いころ習得した知識、技能、経験では不十分になるということである。人は変化しなければならない。新しい欲求、能力、世界観を持たなければならない。自らを再生させなければならない。

 ここでは、活性化ではなく、あえて再生という言葉を使いたい。50年も働くことが当たり前のこととなったからには、自らを再生することが不可欠となる。単に活力を得ることを超え、新しい自分をつくらなければならない。』(「創生の時」FPドラッカー著より)

 普通に90歳まで生きる世の中となり、せめて70歳まで働かないと個人も国も帳尻が合わず、70歳までの労働延長が労使に求められ、50年働くことが当たり前の社会になりつつある。

 ただ、過去の延長線だけで50年働き続けることは難しく、健康で仕事に取り組める体力はもちろん、新しい能力と世界観を自分に植え変えるための努力と覚悟が必須で、だからこそドラッカー博士も活性化ではなく、再生(生まれ変わり)を求めたのだろう。

 再生のためには知的好奇心こそが原動力になるが、何もしないままボーっと過ごしていると永遠の5歳のチコちゃんに叱られます。